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多焦点眼内レンズの費用は?選定療養の差額と医療費控除・高額療養費の関係を解説

「多焦点眼内レンズにすると、全部が自費になるのですか?」「差額は医療費控除や高額療養費の対象になりますか?」。レンズ選びの最後の段階で、こうしたご質問をよくいただきます。

先に結論をお伝えします。多焦点眼内レンズの白内障手術は、手術そのものは保険診療で、レンズの差額などが自費になります。この自費の差額は、高額療養費制度の対象にはなりません。一方、医療費控除では、差額も含めて申告できると案内されることが一般的です。

この記事では、多焦点眼内レンズを選ぶときの費用の分かれ方と、公的な制度・民間の保険との関係を順番に説明します。保険診療の自己負担額そのものについては、白内障手術の費用はいくらかかる?【2026年8月最新版】で詳しく紹介しています。

費用は「保険診療」と「選定療養の差額」の二本立て

多焦点眼内レンズを使う白内障手術は、2020年4月から「選定療養(せんていりょうよう)」という仕組みで受けられるようになりました。選定療養とは、保険診療を基本にしながら、患者さんが希望して選んだ部分だけを自費で上乗せできる制度です。

多焦点眼内レンズの費用は、保険診療の部分(1〜3割負担)と選定療養の部分(全額自費)の二本立てで、当院の差額は片眼・税込で乱視矯正なし+305,000円、乱視矯正あり+338,000円であることを示した図解

支払いは、大きく次の2つに分かれます。

  • 保険診療の部分:手術や診察など。単焦点レンズの手術と同じく、1〜3割の自己負担です
  • 選定療養の部分:多焦点眼内レンズと単焦点レンズとの差額や、多焦点レンズのための追加の検査など。全額が自費です

つまり、手術代がすべて自費になるわけではありません。

当院の多焦点眼内レンズの差額

当院では、PureSee(ピュアシー)、Vivity(ビビティ)、PanOptix(パンオプティクス)の3種類の多焦点眼内レンズを扱っています。いずれも選定療養の対象で、差額は次のとおりです(片眼・税込)。

  • 乱視矯正のないレンズ:+305,000円
  • 乱視矯正(トーリック)のレンズ:+338,000円

この金額に、保険診療の部分(1〜3割負担)が加わります。両眼とも多焦点眼内レンズにする場合は、差額も2眼分になります。どのレンズが適しているか、乱視矯正が必要かは、検査の結果をもとに診察時にご案内します。

高額療養費制度は、差額の部分には使えません

高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担が上限額を超えたときに、超えた分が戻ってくる制度です。ただし、対象になるのは保険診療の自己負担分だけです。選定療養の差額は保険の外の費用なので、上限額の計算には入りません。

高額療養費制度の上限額で抑えられるのは保険診療の自己負担分だけで、選定療養の差額は上限額の計算に入らず全額支払うことを示した図解

70歳以上で外来の自己負担上限がある方でも、差額は上限とは別に全額をお支払いいただきます。

差額は医療費控除の対象になる?

医療費控除の額は「支払った医療費 − 保険金などの補てん − 10万円」で計算し、多焦点眼内レンズの差額も申告できると案内されるのが一般的であることを示した図解

医療費控除は、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えたときに、確定申告で所得税などが軽くなる制度です。医師による診療の対価として支払った費用が対象で、多焦点眼内レンズの差額も、保険診療の部分とあわせて申告できると案内されることが一般的です。

控除額は、おおまかに次の式で計算します(上限200万円)。

(支払った医療費 − 保険金などで補てんされる金額)− 10万円

総所得金額等が200万円未満の方は、10万円の代わりに所得の5%を差し引きます。制度の全体像や計算例は、医療費控除とは?制度を知って費用負担を抑えましょうで紹介しています。個別の申告内容で迷う場合は、お住まいの地域の税務署にご確認ください。

当院のYouTubeチャンネルでも、白内障手術と医療費控除の仕組みを動画で解説しています。

医療費控除で気をつけたいポイント

医療費控除で気をつけたい4つのポイント(支払った年で数える・戻ってきたお金は差し引く・家族の医療費も合算できる・領収書は5年間保管)をまとめた図解
  • 支払った年で数えます:両眼の手術が12月と翌年1月にまたがると、それぞれの年の医療費になります
  • 戻ってきたお金は差し引きます:高額療養費で払い戻された分や、民間の保険から受け取った給付金は、その医療費から差し引いて計算します
  • 家族の医療費も合算できます:生計を一にする配偶者やご家族の分を、まとめて申告できます
  • 領収書は保管します:申告には医療費控除の明細書を作ります。領収書は確定申告の期限から5年間、保存が必要です

民間の医療保険はどうなる?

多焦点眼内レンズの手術は2020年4月に先進医療から選定療養へ移り、先進医療特約は一般に対象外、手術給付金などは契約内容によって異なることを示した図解

多焦点眼内レンズの手術は、2020年3月までは「先進医療」の扱いでした。そのため、以前は先進医療特約で費用が支払われることがありました。現在は選定療養に移ったため、一般に先進医療特約の対象ではなくなっています。

一方、白内障手術そのものに対する手術給付金などは、ご加入の保険の契約内容によって扱いが異なります。給付の有無や必要な書類は、ご加入の保険会社に直接ご確認ください。当院で診断書などが必要な場合は、受付でお申し出ください。

費用とあわせて知っておきたい見え方の特徴

多焦点眼内レンズは、遠くと近くなど複数の距離にピントを合わせやすくすることを目的としたレンズです。ただし、すべての方に同じ見え方が得られるわけではなく、次のような特徴やリスクがあります。

  • 夜に街灯や車のライトの周りに光の輪やにじみ(ハロー・グレア)を感じることがある
  • 暗い場所で、明暗の差(コントラスト)が感じにくくなることがある
  • 見え方に慣れるまで、時間がかかることがある

感じ方には個人差があり、目の状態によっては適さない場合もあります。どんな方に向いているかは、多焦点眼内レンズに向いている人・向いていない人をご覧ください。

まとめ|費用の「分かれ方」を知ってから選びましょう

  • 多焦点眼内レンズの手術は、保険診療の部分と、選定療養の差額(自費)に分かれます
  • 当院の差額は、片眼で+305,000円(乱視矯正ありは+338,000円)、税込です
  • 高額療養費制度で抑えられるのは保険診療の部分だけで、差額は対象外です
  • 医療費控除は、差額も含めて申告できると案内されるのが一般的です。迷うときは税務署へ
  • 民間の保険は契約によって扱いが違うため、加入先に確認しましょう

費用だけでなく、見え方の特徴やリスクも理解したうえで、納得できる選択をしていただければと思います。当院では、レンズ選びや費用のご相談も診察の中でお受けしています。

※この記事は一般的な制度と、2026年10月時点の当院の費用をもとにした内容です。税金や公的医療保険の扱いは制度の改正で変わることがあります。実際の申告や給付については、税務署・ご加入の保険者・保険会社にご確認ください。目の状態に合ったレンズについては、必ず主治医の指示を優先してください。

記事監修者について

土屋俊輔

かなざわ土屋眼科院長の土屋俊輔(つちやしゅんすけ)です。金沢大学附属病院に在籍中は、大学病院へご紹介頂く白内障・緑内障・網膜硝子体疾患の中でも難治性疾患、および緊急疾患にお困りの方々に数多くの手術を執刀させて頂き、研鑽を積んで参りました。 当院では手術だけではなく、近視進行抑制治療や、一般的な眼科疾患にも広く対応しています。どんな眼のお困りごとも、気軽にご相談ください。

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