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緑内障のレーザー治療(SLT)とは?痛み・効果の続き方・目薬との関係を眼科医が解説

緑内障の治療を続けている方から、「目薬以外に治療の方法はないのですか」「レーザーで治ると聞いたのですが」というご質問をいただくことがあります。

先に結論をお伝えします。緑内障には、目薬のほかに「SLT(エスエルティー) 選択的レーザー線維柱帯形成術」と呼ばれるレーザー治療があります。切らずに外来で数分から十数分で終わる治療で、眼圧を下げることを目的とします。ただし、傷んだ視神経を元に戻す治療ではなく、効果の出方や続く期間には個人差があります。

この記事では、SLTのしくみ、向いている方、当日の流れ、副作用、そして目薬との関係を順番に説明します。

SLTとはどんな治療か

SLTは「選択的レーザー線維柱帯形成術(せんたくてきレーザーせんいちゅうたいけいせいじゅつ)」の略です。目の中の水の出口に弱いレーザーを当てて、水の流れを良くし、眼圧を下げることをねらいます。

緑内障の治療で確立しているのは、眼圧を下げることです。眼圧を下げる方法には、大きく分けて次の3つがあります。

  • 点眼治療(目薬)
  • レーザー治療(SLTなど)
  • 手術治療

SLTはこのうち2つめで、目薬と手術の「間」にある選択肢と考えると分かりやすいと思います。

緑内障で眼圧を下げる3つの方法として、目薬、レーザー、手術を左から順に並べた図

眼圧が下がるしくみ

目の中は「房水(ぼうすい)」という透明な水で満たされています。房水は目の中で作られ、黒目の縁の奥にある「線維柱帯(せんいちゅうたい)」というフィルターのような部分から外へ流れ出ていきます。

目の断面図で、房水が作られてから線維柱帯を通って目の外へ流れ出る経路を矢印で示した図

この出口が目詰まりすると、水がたまって眼圧が上がります。SLTでは、線維柱帯に弱いエネルギーのレーザーを当てることで、目の中の自然な反応を利用して出口の流れを良くします。熱で焼き固める治療ではないため、線維柱帯そのものへのダメージは少ないとされています。

SLTが検討されるのはどんな方か

SLTは、房水の出口が開いているタイプ(開放隅角緑内障)の方が主な対象です。日本人に多い正常眼圧緑内障も含まれます。たとえば次のような場合に検討します。

  • 目薬で充血やかゆみなどの副作用が出て、続けにくい
  • 目薬の本数が増えてきて、さすのが負担になっている
  • 手が不自由などの理由で、毎日の点眼が難しい
  • 目薬を使っていても、目標の眼圧まで下がりきらない

一方で、出口がもともと狭い「閉塞隅角(へいそくぐうかく)」のタイプや、炎症・血管の病気が原因の緑内障には向きません。閉塞隅角の方に行うレーザーは、虹彩に小さな穴を開ける別の治療です。どちらが合うかは、隅角の検査で判断します。

治療当日の流れ

SLTは入院の必要がなく、外来で行います。

SLT当日の流れを、点眼、レンズを当ててレーザー、眼圧測定、帰宅の4つの場面で左から右に並べた図

1. 眼圧が急に上がるのを防ぐ目薬と、麻酔の目薬をさします 2. 診察用の顕微鏡の前に座り、目に小さなレンズを当てます 3. レンズ越しにレーザーを当てます。照射は数分程度です 4. 1時間ほどしてから眼圧を測り、問題がなければ帰宅します

注射や切開はありません。レーザーの最中は、チカチカとした光を感じたり、軽い違和感を覚えたりする方がいますが、強い痛みを感じることは多くありません。当日はレンズに使うゼリーの影響で見えにくさが残ることがあるため、車の運転は控えてください。

SLTは健康保険が適用される治療です。自己負担額は保険の負担割合や、同じ日に行う検査の内容によって変わりますので、事前にお尋ねください。

効果の出方と続き方

SLTは、当てたその日に眼圧が下がるわけではありません。数週間から2か月ほどかけて、ゆっくり効果が出てくるのが一般的です。そのため、効果の判定は1〜2か月後の眼圧で行います。

眼圧の下がり方には個人差があり、十分に下がる方もいれば、あまり変化がない方もいます。効果があった場合も、年単位で少しずつ弱まっていくことが知られています。効果が弱まったときは、SLTをもう一度行えることがあるのも特徴の一つです。

SLTの後も、眼圧・視野・OCTによる定期的な検査は欠かせません。治療を受けたから通院が不要になる、ということはありません。

副作用と注意点

SLTは比較的体への負担が少ない治療ですが、副作用がないわけではありません。

  • 治療後の一時的な眼圧上昇
  • 目の奥の軽い痛み、充血、かすみ
  • 目の中の軽い炎症(多くは数日でおさまります)

こうした症状は数日以内に落ち着くことがほとんどですが、まれに眼圧が高い状態が続き、追加の治療が必要になることもあります。治療後に強い痛みや急な見えにくさがあれば、次の予約を待たずに受診してください。

目薬はやめられる?

いちばん多いご質問です。SLTの後に目薬の本数を減らせる方もいますが、すべての方が目薬をやめられるわけではありません。眼圧の目標値は、視神経の状態や視野の進み具合によって一人ひとり違います。SLTの効果を確かめたうえで、目薬を続けるか、減らすかを相談して決めます。

自己判断で目薬を中断すると、眼圧が上がって視野の悪化につながるおそれがあります。目薬を続けるコツについては、緑内障の目薬、さし忘れたらどうする?もあわせてご覧ください。

なお、正常眼圧緑内障のように、もともとの眼圧が高くない方でも、さらに眼圧を下げることが治療の基本です(眼圧が正常なのに緑内障?)。

まとめ|SLTは目薬と手術の間にある選択肢です

  • SLTは、目の中の水の出口にレーザーを当てて眼圧を下げる治療です
  • 切らずに外来で行い、治療そのものは数分程度で終わります
  • 効果は数週間かけて現れ、下がり方や続く期間には個人差があります
  • 目薬を減らせる方もいますが、やめられるかどうかは経過を見て判断します

目薬が続けにくい、本数が増えて負担に感じているという方は、ひとりで悩まずに診察のときにご相談ください。

当院でもSLTを行っており、緑内障のタイプや経過をふまえて、その方に合った治療方法を一緒に考えます。

 

記事監修者について

土屋俊輔

かなざわ土屋眼科院長の土屋俊輔(つちやしゅんすけ)です。金沢大学附属病院に在籍中は、大学病院へご紹介頂く白内障・緑内障・網膜硝子体疾患の中でも難治性疾患、および緊急疾患にお困りの方々に数多くの手術を執刀させて頂き、研鑽を積んで参りました。 当院では手術だけではなく、近視進行抑制治療や、一般的な眼科疾患にも広く対応しています。どんな眼のお困りごとも、気軽にご相談ください。

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