- 白内障
白内障手術は痛い?怖い?麻酔の方法と手術当日の流れを眼科医が解説
「先生、手術は痛いんですか?」——白内障の手術をご案内したとき、患者さんから最も多くいただく質問です。次に多いのが「意識はあるんですか?」「動いてしまったらどうしよう」というご不安です。
結論からお伝えすると、白内障手術は目薬の麻酔(点眼麻酔)を中心に行うため、手術中に強い痛みを感じることはほとんどありません。意識ははっきりしたまま、多くの場合10分前後で終わります。
とはいえ、「痛くありませんよ」と言われても、何をされているのか分からないままでは不安は消えないものです。この記事では、麻酔のしくみと当日の流れを、来院から帰宅まで順を追って解説します。
白内障手術の麻酔は「目薬の麻酔」が中心です
白内障手術で使われる麻酔は、全身麻酔ではありません。目の表面だけを効かせる局所麻酔が基本です。
点眼麻酔
もっとも多く使われるのが点眼麻酔です。手術の前に麻酔の目薬を数回さして、目の表面の感覚を鈍らせます。注射ではないので、麻酔をかけること自体に痛みはありません。
麻酔が効いてくると、器具が触れても「押される感じ」「水がかかる感じ」程度にしか感じなくなります。
必要に応じて追加する麻酔
目の状態によっては、目の中に少量の麻酔薬を入れる方法(前房内麻酔)や、白目の下に麻酔薬を注入する方法(テノン嚢下麻酔)を組み合わせることがあります。手術中に痛みを感じたときに追加することもできます。麻酔の方法は一人ひとり異なりますので、術前の診察で確認しておきましょう。
手術中はどう見える?意識はあるの?
意識はあります。声をかければ返事ができますし、こちらからも「あと少しですよ」とお声がけしながら進めます。手術中に見えるものは、多くの場合次のようなものです。
- 顕微鏡のまぶしい光。はっきりした像としては見えず、白くぼんやりした明るさとして感じます
- 光の色が変わったり、水が流れるような揺らぎが見えたりすること
- 手術の後半で、急に明るくなったように感じること
「器具が近づいてくるのが見えて怖いのでは」と心配される方がいますが、麻酔と光のまぶしさで細かいものははっきり見えません。まぶたは器具で開いたままにしますので、まばたきをこらえようと力む必要もありません。多少の目の動きも想定して進めます。大切なのは、急に頭を動かしたり体を起こそうとしたりしないことです。咳やくしゃみが出そうなとき、痛みや気分の悪さを感じたときは、我慢せずに声に出してお伝えください。
「痛い」と感じるのはどんなとき?
手術中に強い痛みを感じることはまれですが、まったく何も感じないわけではありません。多いのは、まぶたを開く器具で押される感じ、消毒のときのひんやりした感じ、そして手術の終わり際に麻酔が薄れてきたときの、しみるような感覚です。いずれも耐えられないほどの強さではないことがほとんどですが、感じ方には個人差がありますので、痛みを感じたときは我慢せずお伝えください。
術後は、麻酔が切れてから半日ほど、ゴロゴロする違和感や軽い痛み、涙っぽさが出ることがあります。小さな傷が治っていく過程で起こるもので、多くは1〜2日で落ち着きます。
ただし、次のような場合は、様子を見ずに手術を受けた医療機関へ早めにご連絡ください。
- 我慢できないほど強い痛み、頭痛や吐き気を伴う痛み
- 急に見えにくくなった
- 充血や目やにがどんどん強くなる
不安が強い方は、遠慮なく伝えてください
「じっとしている自信がない」「閉所が苦手」といったご不安や、腰痛・頻尿など仰向けの姿勢が続くことへの心配は、決して珍しいものではありません。事前に分かっていれば手術の進め方や声かけで対応できることがありますので、遠慮なくお話しください。
不安を減らすうえでは、手術前の検査と説明の時間も大きな意味を持ちます。どんな検査をして何を決めているのかは白内障手術の結果を左右する?術前検査はここが大事です!で、そもそも手術の時期かどうか迷っている方は【白内障手術いつ受ける?】視力だけでは判断できない!白内障手術のタイミングを解説で、それぞれ詳しく解説しています。
まとめ|「何をされるか分かっている」ことが安心につながります
白内障手術は、目薬の麻酔を中心に、意識のある状態で10分前後で行われることが一般的です。顕微鏡の光はまぶしく感じられますが、器具がはっきり見えるわけではなく、痛みも強いものではありません。
当日は準備と経過観察を含めて数時間かかります。運転は避け、前開きの服で、お化粧は落としてお越しください。そして何より、不安なことや体の心配ごとは前もってお伝えいただくことが大切です。手術後の眼鏡を作る時期については、白内障手術後の眼鏡はいつ作る?ベストな時期と、すぐ必要なときの対処法もあわせてご覧ください。
かなざわ土屋眼科では、手術前の説明の際に、当日の流れやご不安な点についてお話ししています。「こんなことを聞いてもいいのだろうか」という小さな疑問こそ、遠慮なくお尋ねください。
> ※この記事は、合併症のない一般的な白内障手術を想定した内容です。麻酔の方法・所要時間・当日の指示は、目の状態や医療機関によって異なります。必ず手術を受ける医療機関・主治医の指示を優先してください。
記事監修者について
土屋俊輔
かなざわ土屋眼科院長の土屋俊輔(つちやしゅんすけ)です。金沢大学附属病院に在籍中は、大学病院へご紹介頂く白内障・緑内障・網膜硝子体疾患の中でも難治性疾患、および緊急疾患にお困りの方々に数多くの手術を執刀させて頂き、研鑽を積んで参りました。 当院では手術だけではなく、近視進行抑制治療や、一般的な眼科疾患にも広く対応しています。どんな眼のお困りごとも、気軽にご相談ください。