- 白内障
白内障の見え方はどう変わる?かすむ・まぶしい・二重に見えるのセルフチェック
「メガネを作り替えたばかりなのに、なんとなく見えにくい」「昼間の運転で、対向車のライトがやけにまぶしい」——診察室でこうしたお話をうかがい、検査をしてみると白内障が始まっていた、ということは少なくありません。
白内障は、痛みもなく、充血もなく、ゆっくり進みます。そのため「年のせい」「疲れ目だろう」と思っているうちに進行していることが多いのが特徴です。
この記事では、白内障で起こりやすい見え方の変化を具体的に挙げながら、老眼や他の目の病気との見分け方、そして「そろそろ眼科へ」と考えていただきたい目安をお伝えします。
目次
白内障は「目の中のレンズが濁る」病気です
目の中には、カメラのレンズにあたる「水晶体(すいしょうたい)」という透明な組織があります。白内障は、この水晶体が濁ってくる状態のことをいいます。
濁りの多くは加齢によるもので、80代ではほとんどの方に何らかの濁りが見られるとされています。病気というより、髪が白くなるのと同じような身体の変化に近いものです。
大切なのは、濁り方によって見え方の困り方がまったく違うという点です。中心が濁るのか、周辺なのか、後ろ側なのかで、症状の出方も進み方も変わります。だからこそ「見え方の変化」に気づくことが受診のきっかけになります。
白内障で起こりやすい、5つの見え方の変化
1. かすむ・もやがかかる
もっとも多い訴えです。「すりガラス越しに見ている感じ」「目の前に薄い膜がある」と表現される方もいます。目をこすっても、まばたきしても晴れないのが特徴です。
2. まぶしい(羞明)
白内障の症状として意外に知られていないのが、まぶしさです。濁った水晶体を光が通ると、光が散らばってしまい、まぶしさやギラつきとして感じられます。
- 晴れた日の屋外で、目を細めないと歩けない
- 夜間、対向車のヘッドライトがにじんで広がる
- 蛍光灯や照明のまわりに輪のようなものが見える
視力検査の数字はそれほど悪くないのに、こうしたまぶしさで生活が不便になっている方はとても多くいらっしゃいます。
3. 一つのものが二重・三重に見える
片目で見たときに、月や信号がだぶって見えることがあります。両目で見て二重になる場合は、目を動かす筋肉や神経の問題であることもあるため、片目ずつ隠して確かめてみるのが大切な見分け方です。
4. 色の見え方が変わる
水晶体が黄色〜茶色みを帯びてくると、世界全体がわずかに黄ばんで見えるようになります。ゆっくり進むため自覚しにくいのですが、白いシャツやコピー用紙を片目ずつ交互に見比べると、左右で白さが違うことに気づく方もいます。
5. 明るいところ・暗いところで差が出る
濁りが水晶体の後ろ側に出るタイプでは、明るい場所ほど見えにくくなることがあります。瞳が小さくなり、ちょうど濁りの部分を光が通るためです。逆に、薄暗いところのほうが見やすいという逆転が起こることもあります。
「近くが見えやすくなった」も、変化のサインです
「老眼が治ったみたいに、近くの字が読めるようになった」——これは喜ばしい変化に思えますが、白内障の初期に起こることがある現象です。
水晶体が濁ってくる過程で、屈折の度合いが近視寄りに変わることがあり、その結果、手元が見やすくなることがあります。ただしこの状態は長く続かず、やがて遠くも近くも見えにくくなっていきます。
「メガネの度が急に合わなくなった」「作り替えてもすぐに合わなくなる」という場合も、同じ理由であることがあります。度数が短期間で動くときは、一度眼科で調べておくと安心です。
白内障と間違えやすい、ほかの目の変化
見え方の変化はすべてが白内障とは限りません。似た症状で、まったく別の対応が必要なものもあります。
- 急に増えた黒い点や糸くず:飛蚊症。網膜に穴があいている場合があり、急な増加は早めの受診が必要です
- 視野の一部が欠ける・見えない場所がある:緑内障や網膜の病気の可能性があります
- ものがゆがんで見える、真ん中が見えにくい:黄斑(おうはん)の病気を考えます
- 手元だけが見えにくい:老眼であることが多く、白内障とは別の変化です
とくに急に起きた変化は白内障らしくありません。白内障は月単位・年単位でゆっくり進むのが普通です。数日から数週間で急に悪くなった場合は、白内障以外の原因を考えて早めに受診してください。
セルフチェック:眼科で相談したい見え方
次のような状態が続いていたら、一度検査を受けておくことをおすすめします。
- 明るい屋外や夜間のライトが、以前よりまぶしい
- メガネを作り替えても、しっくりこない
- 片目ずつ見ると、左右で明るさや色味が違う
- 新聞やスマートフォンの文字がかすんで読みにくい
- 運転していて、標識や車線が見えにくいと感じる
こうした症状があっても、必ずしもすぐに手術が必要になるわけではありません。濁りの程度と、生活のどこが困っているかを確かめることが、まず最初の一歩です。
見つかったら、すぐ手術なのでしょうか
いいえ、そうではありません。白内障が見つかっても、日常生活に不自由がなければ経過を見ていくことがほとんどです。定期的に検査を受けながら、ご自身の生活で困りごとが出てきたときに手術を検討する、という進め方が一般的です。
進行の程度や、いつ手術を考えるかについては、白内障手術のタイミングや日常生活で気をつけたいことの記事もあわせてご覧ください。
なお、白内障の進行を完全に止める目薬は現在のところありません。点眼薬が処方されることはありますが、あくまで進行をゆるやかにすることを目的としたもので、濁った水晶体を透明に戻す働きはありません。
まとめ|見え方の変化は、目からのお知らせです
- 白内障はゆっくり進むため、「年のせい」と見過ごされやすい病気です
- かすみ、まぶしさ、二重に見える、色の変化などが代表的なサインです
- 視力の数字が良くても、まぶしさで困っている方は少なくありません
- 急に起きた見え方の変化は、白内障以外の原因を考える必要があります
- 見つかっても、すぐ手術とは限りません。まず状態を知ることが大切です
見え方の変化は、ご本人にしかわからないものです。「気のせいかもしれない」と思うくらいの段階でかまいませんので、気になったときにご相談ください。当院では、白内障の検査から手術のご相談まで対応しております。
※この記事は一般的な白内障の症状と受診の目安を想定した内容です。症状の原因や必要な検査は、目の状態によって一人ひとり異なります。必ず主治医の指示を優先してください。
記事監修者について
土屋俊輔
かなざわ土屋眼科院長の土屋俊輔(つちやしゅんすけ)です。金沢大学附属病院に在籍中は、大学病院へご紹介頂く白内障・緑内障・網膜硝子体疾患の中でも難治性疾患、および緊急疾患にお困りの方々に数多くの手術を執刀させて頂き、研鑽を積んで参りました。 当院では手術だけではなく、近視進行抑制治療や、一般的な眼科疾患にも広く対応しています。どんな眼のお困りごとも、気軽にご相談ください。