2024年7月 金沢市福久町にてリニューアルOPEN
  • 白内障

当院で使用できる眼内レンズのご案内(2025年7月現在)

白内障手術では濁った水晶体を除去し、その代わりに人工のレンズ(眼内レンズ)を挿入します。

当院では、健康保険でカバーされる単焦点レンズから、選定療養で導入可能な多焦点レンズまで、患者様のライフスタイルに合わせて様々な眼内レンズをご用意しております。ここでは、それぞれのレンズの特徴や適応、メリット・デメリットをご紹介いたします。

単焦点眼内レンズ(保険適応)

単焦点レンズはピントが1箇所(通常は遠方)に合う標準的なレンズです 。健康保険の範囲で手術可能で費用負担が少なく、遠方に合わせた場合は遠方視力の鮮明さが得られますが、近くを見る際には老眼鏡が必要になることが多いです 。逆に手元に合わせた場合は、スマホや読書の際には眼鏡を必要とすることはありませんが、日常生活のほとんどの場面で眼鏡が必要になります。

以下の単焦点レンズはいずれも保険適応で使用できます。とくにこれらの優劣があるわけではなく、乱視矯正の必要があるか、硝子体手術と同時手術であるか、術中の合併症で強膜内固定術への以降の可能性があるかなどを踏まえて使用する眼内レンズを決定しています。

TECNIS OptiBlue® 1-Piece (テクニス オプティブルー)(保険適応)

  • アメリカ Johnson & Johnson社の単焦点非球面レンズ
  • 白内障手術を受けられるほとんど全ての患者様に安心して使用できるスタンダードなレンズ
  • 光を一箇所に集中させるため、鮮明に見える
  • 当院では最も頻繁に使用されるレンズ
  • 乱視矯正には対応していない

 Avansee (アバンシィ)(保険適応)

  • 日本の興和株式会社が製造する国産単焦点レンズ
  • 3ピース構造(光学部と支持部が別素材)を採用し、眼内でのレンズ位置が安定しやすいため、ガス置換などを行う硝子体手術と白内障の同時手術の際に使用することが多い
  • 光を一箇所に集中させるため、鮮明に見える
  • 乱視矯正には対応していない

Vivinex isert (ビビネックス アイサート)(保険適応)

  • 日本のHOYA株式会社が開発した単焦点レンズ
  • 乱視矯正が可能
  • 光を一箇所に集中させるため、鮮明に見える
  • 保険適応の単焦点レンズを希望され、乱視矯正の必要がある場合はこのレンズを使用します

TECNIS Eyhance (テクニス アイハンス)(保険適応)

  • アメリカ Johnson & Johnson社が2021年に発売した新コンセプトの焦点深度拡張型レンズ
  • 一見すると通常の単焦点眼内レンズですが、レンズ表面の高次非球面デザインにより焦点深度曲線をなだらかに拡張している点が特徴
  • 保険適応内ですこしでも眼鏡の頻度を減らしたい、日常的に中間距離を見る機会が多い方に適しています。
  • ただし、スマホや読書の際には老眼鏡の使用が必須
  • 通常の単焦点レンズと同じく、ほぼ見え方に違和感はないと言われてはいるが、まれにハロー・グレアが気なる場合あり
  • 乱視矯正も可能
  • あくまでも保険適応のレンズであるので過度な期待は厳禁

多焦点眼内レンズ(選定療養)

多焦点眼内レンズ遠近複数にピントが合う高機能レンズで、術後のメガネ依存度を大幅に減らすことができます

遠方から近方まで複数の距離で視力を得られる反面、選択するレンズによっては夜間のハロー・グレアやコントラスト低下などの現象が起こる場合があります 。多焦点レンズは2020年以降、選定療養の扱いで導入可能となりました。選定療養とは白内障手術そのものは保険で行い、レンズ代の差額分のみ自己負担する制度です 。以下のレンズは当院で選定療養でお選びいただける主な多焦点レンズです。

ただし、白内障手術を受けられる方全員に使用できるわけではありません。白内障以外の眼疾患(角膜・黄斑疾患や斜視など)がある場合は多焦点レンズの適応外となる場合があります。詳しくは診察の際にお伝えします。

Alcon Clareon® ViVity® (クラレオン ビビティ)(選定療養)

  • アメリカAlcon社が開発した非回折型の焦点深度拡張レンズ

  • 最大の特長は多焦点レンズのカテゴリの中ではハロー・グレアが非常に少ない

  • 当院では乱視用の場合+338,000円、そうでない場合は+305,000円追加で費用がかかる(いずれも税込み)

光エネルギーのロスがほぼ無い非回折型レンズのため、コントラスト感や明るさも単焦点レンズ同等に確保されています 。この結果、夜間運転時の対向車ライトの眩しさや光の輪が気になるリスクが大幅に軽減されており、夜間運転をされる方にも選択肢に入る画期的なレンズです。しかしデメリットとして、30cm前後の手元の視力がでにくいため、近づけてのスマホや読書では眼鏡が必要になる場合もあります。そのため当院では片眼の術後検査にて患者さんの見え方を確認し、手元の見え方に満足いただけない場合はマイクロモノビジョンもしくはPanOptixを使用したmix and match法で対応します。2025年5月より乱視矯正にも対応し、使用いただける患者様は飛躍的に増えました。

Alcon Clareon® PanOptix® (クラレオン パンオプティクス)(選定療養)

  • アメリカAlcon社が開発した回折型の3焦点(遠・中・近)眼内レンズです。

  • 「術後はほとんどメガネなしで生活したい」という強いご希望をお持ちの方に適しています。

  • 当院では乱視用の場合+338,000円、そうでない場合は+305,000円追加で費用がかかる(いずれも税込み)

遠方、約60cmの中間距離、約40cmの近方にピントが合うよう光学設計されたレンズで、2019年に国内承認されて以来、多焦点レンズの中で最も使用実績が多いレンズの一つとなっており、その効果と安全性は多数の臨床例で確認されています。

しかし、このレンズでは夜間のハロー・グレア現象(街灯や車のライトが滲んだり輪がかかって見える)が生じる可能性があります 。これは多焦点レンズ全般の宿命ですが、PanOptixでも暗所では多少のハロー・グレアが報告されています 。もっとも、大半の患者様では術後しばらく経つと脳が順応し、ハロー・グレアは気にならなくなるとされています。しかし頻繁に夜間運転をする方や、暗い場所での作業が多い方は、この現象がストレスになる可能性を考慮する必要があります 。また、光を分配する構造上、暗い環境下では明暗の差(コントラスト)をやや感じにくくなる可能性があります 。例えば薄暗い部屋で細かな文字を読む際など、若干ぼやけを感じることがあります(個人差があります)。

総合すると、「メガネにほぼ頼らない代わりに、夜間の見え方に少し妥協する」ことを受け入れられる方向きのレンズです。適応さえ正しければ術後の生活は一変しますので、興味がある方はぜひご相談ください。

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