2024年7月 金沢市福久町にてリニューアルOPEN
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白内障手術の眼内レンズの度数決定はどうするの?

こんにちは、かなざわ土屋眼科 院長 土屋俊輔です。

今回は当院でのどのように白内障手術における眼内レンズの度数決定をしているかをご紹介します。

実際に眼内レンズの度数決定は非常に重要です。個人的には手術手技よりも術前検査の正確性と、それを元にした眼内レンズの度数決定のほうが、患者さん本人にとっては重要だと感じています。というのも、患者さん一人ひとりのニーズにあわせ、度数決定をするのはもちろん、皆様の求める見え方を達成するためには、この誤差を如何に少なくするかが、術後の満足感につながる一番の要因であるからです

 

保険適応の単焦点レンズ(当院ではほとんどの方が該当します)を使用して白内障手術を行う場合、術後の見え方として、1)遠くにピントをあわせる(遠くは裸眼でみえるが老眼鏡が必要)、2)近くにピントをあわせる(パソコン作業やスマホ、読書などは裸眼で、運転やテレビを見るときはメガネを使用する)の大きく2通りの見え方を選択していただきます。2)の場合はわずかな誤差は、基本的には眼鏡を装用することで対応できますが、1)の遠くの見え方を重視する場合は、すこしの誤差が裸眼視力に影響してきますので、この誤差を如何に少なくするかが重要です。

それでは、眼内レンズの度数決定はどのように行われているのでしょうか?

術前検査として重要な検査は眼軸長(目の長さ)測定と角膜形状(黒目の形状)解析です。この測定により、眼内レンズの度数を決定しますが、その測定方法、計算方法も多岐にわたります。

当院では検査機器としてOA-2000(トーメー社)とARGOS(アルコン社)の2種類使用しております。OA-2000は日本のトーメー社による定番の眼軸長測定機器で、素早く眼軸長測定を行い、眼内レンズ度数を簡便に決定できます。

ARGOSも同様の機器でありますが、この測定機器の大きな違いとしてはARGOSではセグメント方式による眼球の部分ごとの屈折値を使用し眼軸長測定を行うことで、より正確な眼軸長測定が可能になります。

また、眼軸長の測定と同時に前眼部写真と角膜形状解析を行っていますが、術中ガイダンスシステム(VERION)とリンクさせることで、手術の最中に画像を投影し、乱視矯正レンズの正確な位置決定を行うことで、患者さんにとって術後よりよい視力を提供できるようになります。

検査機器で角膜の形状や眼軸長測定を正確に行うことも重要ですが、眼内レンズの度数を決定するためには、その計測値を使用してレンズ度数を決定する必要があります。

世代ごとに眼内レンズ計算の方法が異なりますが、数年前まではSRK/T式という計算式で眼内レンズが主流でした。これはこれで比較的正確だったのですが、日本人に多い近視の目(眼軸長が長い目)など、眼球の形状が通常の形から逸脱した場合に正確さが急激に低下します。

そこで近年精度が向上したBarrett Universal II式や人工知能を用いた計算式が使用されるようになってきました。

当院では基本的にはBarrett Universal II式を使用していますが、それでもなお誤差が生じる可能性があると予測されるばあいには人工知能を用いたKane式などを利用して、決定したレンズ度数を再確認します。

また、LASIK後や円錐角膜眼などの角膜は特殊な形状をしている場合には、Barrett True K NH(LASIK眼)やBarrett True K KC (円錐角膜)を用いて、できる限り精度を上げるよう努めています。

 

上記のように最新の技術・機器を使用してなお、数%の確率ではありますが誤差が生じます。この誤差をできる限り少なくするために、現在日本発の計算式を開発中(O-formula)との発表も先日拝聴しました。

今後も日進月歩でよりよい医療が出てくると思います。当院でも白内障手術の満足度をより高めるために、常に最新の機器・技術を使用しております。

なにか白内障手術で不明なことがあればいつでもご相談ください。

かなざわ土屋眼科 院長 土屋俊輔

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