- 一般眼科
まぶたのピクピク、放っておいても大丈夫?眼瞼ミオキミア・眼瞼けいれんとは?
「最近、まぶたが勝手に波打つように動く」「まぶしさを強く感じて、目を開けているのが辛い」といった症状はありませんか?
実は、一言に「まぶたのけいれん」と言っても、原因が疲れによるものか、神経の異常によるものかで、対処法は全く異なります。特によく混同されやすい「眼瞼(がんけん)ミオキミア」と「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」の違いについて解説します。
目次
一目でわかる症状チェック表
まずは、ご自身の症状がどちらに近いかチェックしてみましょう。
| 症状の特徴 | 眼瞼ミオキミア (一時的なピクつき) | 眼瞼痙攣 (脳の過剰信号) |
| 場所 | 片方のまぶた(特に下側が多い) | 両目(左右差がある場合も) |
| 感覚 | 筋肉の一部がピクピク動く | 瞬きが増える、眩しい、目を開けにくい |
| 原因 | 疲れ、睡眠不足、ストレス、カフェイン | 脳内の神経回路の不具合 |
| 期間 | 数日から数週間で自然に消える | 放っておくと徐々に進行する |
| 主な治療 | 安静・休養 | ボツリヌス療法(ボトックス) |
眼瞼ミオキミア:まずは「ゆっくり休んで」のサイン
多くの人が経験するのが、この「眼瞼ミオキミア」です。まぶたが痙攣する、という訴えで受診されるほとんどの皆様がこれに当てはまります。
まぶたの筋肉(眼輪筋)が、自分の意思とは関係なくピクピクと波打つように動きます。
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原因:肉体的な疲れ、睡眠不足、精神的なストレス、あるいはコーヒーなどのカフェインの摂りすぎが引き金になります。
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治療法:特別な治療は必要ありません。「心身を休めなさい」という体のサインだと思って下さい。十分な睡眠をとり、目を休ませることで自然に治まってきます。
眼瞼痙攣:目を開けているのが辛い病気
こちらは名前に「痙攣」とつきますが、ミオキミアのようにピクピクするのではなく、「まぶたの開閉スイッチが故障した状態」に近い病気です。
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初期症状:「まぶしい」「目が乾く(ドライアイに似た感覚)」「瞬きが増える」などから始まります。いろいろな訴えにつながることが多いため(まぶしさやゴロゴロなど)、ご自身では気づきにくい点が特徴です。
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進行すると:自分の意思で目を開けようとしても、まぶたがギュッと閉じてしまい、日常生活や運転に支障をきたします。
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治療法:飲み薬は効きにくいため、現在はボツリヌス療法(ボトックス注射)が第一選択です。目の周りの筋肉に注射をすることで、過剰な神経の命令を和らげ、症状を改善させることができます。
眼瞼痙攣の標準的な治療:ボトックス治療について
眼瞼痙攣と診断された場合、現在もっとも効果的で推奨されている治療法が「ボトックス治療(ボツリヌス療法)」です。
ボトックス治療とは?
ボツリヌス菌が作る天然のタンパク質を有効成分とした薬を、目の周りの筋肉に少量注射する治療法です。この薬には「筋肉を収縮させる神経の命令をブロックする」働きがあります。
過剰に動いているまぶたの筋肉をリラックスさせることで、勝手に閉じてしまう症状やピクつきを抑えます。
治療の流れと特徴
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処置の時間:処置室で行い、注射自体は数分で終了します。
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効果の現れ方:打ってすぐに効果が出るわけではなく、数日後から徐々にまぶたが軽くなり、1〜2週間で効果が安定します。
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持続期間:個人差はありますが、通常3〜4ヶ月ほど効果が持続します。
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通院の頻度:効果が切れてくると症状が再び現れるため、数ヶ月に1回のペースで定期的に治療を継続するのが一般的です
副作用について
一時的なものとして、まぶたが閉じにくい、目が乾く(ドライアイ)、内出血などが起こる場合があります。これらは薬の効果が弱まるにつれて自然に改善していきます。当院では患者さんの症状の強さに合わせて、注射する部位や量を慎重に調整しています。
費用と保険適用について
眼瞼痙攣や片側顔面痙攣の治療として行うボトックス治療は、健康保険が適用されます。 ※3割負担の方で、およそ1万5千円〜1万8千円前後の薬剤費・再診料がかかります(使用する薬の量によって前後します)。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 市販の目薬で治りますか?
A. 疲れが原因のミオキミアであれば、目を潤すことでリラックス効果は期待できます。しかし、眼瞼痙攣は脳からの信号の不具合であるため、目薬だけで根本的に治すことは難しいのが現状です。
Q. スマホやパソコンの使いすぎは関係ありますか?
A. 大いに関係があります。長時間の画面注視は目を酷使し、ミオキミアを引き起こす直接的な原因になります。また、眼瞼痙攣の方にとっても、眩しさが強い画面を見ることは症状を悪化させるストレス要因となります。
Q. 精神的なストレスが原因でしょうか?
A. ミオキミアはストレスや過労で起こることが非常に多いです。一方で眼瞼痙攣は、ストレスがきっかけで症状が目立つようになることはありますが、主な原因は神経系の異常と考えられています。
Q. 飲み薬が原因でまぶたが動くことはありますか?
A. はい、あります。睡眠薬や抗不安薬などを長期服用している場合、副作用として眼瞼痙攣のような症状が出ることがあります(薬剤性眼瞼痙攣)。もし心当たりのあるお薬がある場合は、診察時にぜひお伝えください。
Q. ボトックス注射は痛いですか?
A. 非常に細い針を使用するため、チクッとする程度の痛みです。痛みに不安がある方は、事前にお申し付けいただければ表面麻酔(点眼薬など)を併用することも可能ですので、ご安心ください。
記事監修者について
土屋俊輔
かなざわ土屋眼科院長の土屋俊輔(つちやしゅんすけ)です。金沢大学附属病院に在籍中は、大学病院へご紹介頂く白内障・緑内障・網膜硝子体疾患の中でも難治性疾患、および緊急疾患にお困りの方々に数多くの手術を執刀させて頂き、研鑽を積んで参りました。 当院では手術だけではなく、近視進行抑制治療や、一般的な眼科疾患にも広く対応しています。どんな眼のお困りごとも、気軽にご相談ください。